ゲームプレイヤーにAIという新しいチームメイトが現れる

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Tencent Games

そのチームメイトは「AIコンパニオン」と呼ばれ、FPS(ファーストパーソンシューター)ゲームにおいて会話を理解したり、場面を認識したり、有益なフィードバックを提供したりすることで、プレイヤーの手助けをします。最初のAIコンパニオンであるF.A.C.U.L.は、昨年デモが行われました。

人間の言語を理解する初のFPS AIコンパニオン、F.A.C.U.L.は昨年『Arena Breakout』内で発表され、大きな話題となりました。最先端のテクノロジーが、プレイヤーに魅力的な新体験をもたらす新種のAIコンパニオンを可能にすることを実証したのです。

テンセントゲームズ傘下MoreFun Studiosの主任エンジニア兼AIチームリーダーであるエルヴィス・リュー(Elvis Liu)氏は、本技術の方向性とビデオゲーム分野に与える影響についての考えを以下の通り述べています。

「思い浮かべてみてください。お気に入りのFPSゲームで、激しい銃撃戦に巻き込まれている場面を。ホットキーを操作したり、無反応のNPCに怒鳴ったりする代わりに、あなたはこう言うだけでいいのです。”赤いトラックの後ろに隠れて、制圧射撃をして!”数秒後には、AIコンパニオンが命令通り正確に動き、熟練した生身のチームメイトのように、あなたの行動を妨げることなく、手助けしてくれます。」

F.A.C.U.L.:チームメイトの役割を担うAIコンパニオン

F.A.C.U.L.の世界へようこそ!言語を理解するFPS AIコンパニオンである F.A.C.U.L.は、FPSゲームの遊び方を再定義する画期的なAIシステムです。MoreFun Studiosが開発したF.A.C.U.L.は、リアルタイムの音声生成、場面認識、高度な生成AI技術を組み合わせ、自主的に思考するゲーム内の味方を作り出します。

1980年代にヒットした、ゴーストをむしゃむしゃ食べるアーケードゲームの人気作『パックマン』のようなゲームにおけるAIの最も初期の、最も基本的な反復とはかけ離れたものです。1990年代には、『クリーチャーズ』のようなゲームがこのコンセプトをさらに推し進め、仮想生命体が環境や交流に基づいて学習し、適応することを可能にしました。現代では、オープンワールドゲームがAIを新たな高みへと押し上げ、ルーティンに従ったり、プレイヤーの行動に反応したり、没入感のある生きた世界の創造に貢献するNPC(ノンプレイヤーキャラクター)が登場しています。

しかし、そのような進歩にもかかわらず、FPSゲームにおけるAIコンパニオンの能力は限定的なままです。プレイヤーとしては、「ついてこい」、「待機せよ」、「攻撃しろ」といったざっくりした命令ばかりで、微妙なニュアンスやリアルタイムの適応がありません。決定的なのは、こうしたAIコンパニオンは周囲の状況を全く理解していないため、プレイヤーにとっての価値が限定的だということです。

そこでF.A.C.U.L.の出番です。原稿に基づいて行動する従来のAIとは異なり、F.A.C.U.L.はプレイヤーの意図を解釈し、話し言葉によるコマンドを処理し、ゲーム内で起きていることに基づいて賢く反応します。

この技術は、AIチームメイトを実装した初のFPSタイトル『Arena Breakout: Infinite』で活用されており、仲間の行動がプレイヤーの勝利に大きく寄与します。

場面や状況認識がゲームチェンジャーとなる

FPSゲームにおける音声制御システムはこれまでも試みられてきました。(例:『SOCOM』初期の音声ベースの分隊指示や『Ready or Not』のMODベースのソリューションなど)しかし、それらは定義済みのフレーズに制限され、文脈理解が不十分でした。F.A.C.U.L.は、大規模言語モデル(LLM)と高度な場面認識による意図確認を導入することで、ゲームに革新をもたらします。

プレイヤーが「左サイドから援護してくれ」と言うと、AIはただ台本に言葉を照らし合わせるのではなく、状況を評価し、障害物を理解し、脅威を識別し、リアルタイムの状況に基づいて戦術を実行します。赤いトラックと青いセダン、屋上と階段の違いも認識しています。

F.A.C.U.L.の背景にある技術により、乗り物、建造物、収集可能なアイテムなど、ゲーム内の17,000以上のオブジェクトを識別し、区別することができます。F.A.C.U.L.は、やみくもに命令に従うのではなく、周囲の状況に適応します。この空間的・文脈的認識によって、F.A.C.U.L.は音声コマンドを単なるギミックからシームレスで戦術的なゲームプレイメカニックスへと変貌させます。しかし、最も重要なのは、あなたの味方になるということです!

なぜ他のジャンルではなくFPSなのか

MoreFun StudiosのチームがAI技術の応用を模索し始めたとき、RPG、戦術・戦略系、オープンワールドなど、いくつかのジャンルを検討しました。しかし、その中でFPSが明確な出発点でした。

なぜFPSなのか?FPSは、テンポが速く、適応力のある意思決定が求められるからです。AIコンパニオンが静的な台本に従う他のジャンルとは異なり、FPSの味方は刻々と変化する戦闘状況を即座に理解し、反応しなければならないです。FPSでは高度なAIのチームメイトが不在だったため、アップグレードに最も適したジャンルだったのです。

F.A.C.U.L.はプレイヤー体験を向上させるだけでなく、開発者にも新たな可能性を開く

  • 適応型難易度調整:プレイスタイルに応じて進化するチームメイト
  • FPS+RTSモード: 各プレイヤーはAIコンパニオンを率いてチームを編成し、アクションと戦略の両方で他のプレイヤーやAIのチームメイトと競い合います。

これにより、既存の能力を向上させるだけでなく、まったく新しいタイプのゲームプレイを可能にします。

FPSとAIの未来

AI技術の進化はゲームに変革をもたらし、知能を持つNPCがその先頭を走っています。ダイナミックで人間のようなインタラクションでプレイヤー体験を向上させるだけでなく、こうしたAI主導のキャラクターは商業的にも大きな可能性を秘めており、F.A.C.U.L.はその始まりに過ぎません。

RPGでは、プレイヤーは「生きている」キャラクターと感情的なつながりを育むことができる可能性があります。アクションゲームでは戦術的な傭兵として、JRPGでは仲間として、ストラテジーゲームでは指揮官として、多才な知能を持つNPCが活躍できるでしょう。

課題は、没入感とパフォーマンス、公平性、コストのバランスを取ることです。開発者は、AIコンパニオンが生身のプレイヤーを出し抜いたり、取って代わったりすることなく、あくまでゲームプレイを向上させ、ゲームの楽しさを維持する存在とさせなければなりません。MoreFun Studiosはすでに、計算負荷を軽減し、モバイルとコンソールゲームどちらにでも拡張可能なスケーラビリティを目指しています。

AIコンパニオンが高難易度のマッチで信頼できるチームメイトとなるのか、それともプレイヤーは人間のチームメイトを選ぶのか、大きな疑問が残ります。

FPSゲームの未来は、AIコンパニオンとともにあるのでしょうか。今後の動向にぜひご注目ください。

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