触れる生活:触覚技術がもたらす変革

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多くの人にとって、仕事に行ったり友達に会うこと、そしてオンラインでの銀行取引やショッピングは当たり前の日常です。

しかし、世界中には推定22億人もの視覚障がいを持つ方がいて、その多くが中度から重度の症状を抱えています。彼らにとって、他の人が当たり前に行うタスクを実行することは困難を伴います。これらの障壁は、便利さだけでなく自立心も奪い、生活を不便にします。

視覚障がいを持つ方にとって触覚と聴覚は極めて重要で、外界とのコミュニケーションや理解に不可欠です。アラームによる新しい日の始まりの通知、接近する電車の音、タッチパッド上の点字による道案内など、これらの音声や触覚情報がガイドとして役立っています。

技術の進化により、視覚障がいを持つ方の生活が楽になるはずが、デジタル化された世界は逆に困難が増すこともあります。騒がしい環境では、音声案内が適切に機能しないこともあります。その結果、画面読み上げソフトウェアや音声だけに頼ることで、重要な情報を聞き逃してしまうリスクがあります。

触れる感覚を活用する:触覚技術の活用

この課題に向き合うために、私たちは視覚障害を持つ方々が世界を「見る」力を高めるための触覚に基づく技術を最適化してきました。私たちは、視覚障害や低視力の人々が周囲の状況をより直感的に知覚し、移動できるよう支援する感覚的な言語を創造したいと考えています。

この触覚技術は、私たちの研究の基盤となり他の領域でも相互に活用されています。最初はゲーム「Peacekeeper Elite(和平精英)」での使用を目的として開発されたコントローラーの振動技術がその一例です。この触覚技術は、情報を伝えるために200種類以上の異なる振動パターンの使用を可能にします。

Tencent GamesのMTGPAチームは、迅速にこの技術をゲーム以外の領域に応用できる可能性に気付きました。この技術は色んな分野で協力者を集うことができ、テンセントチーム、学界、研究機関、地域代表者などの主要関係者を結集させ研究を推進しています。これにより、視覚障がいを持つ方の生活を向上させるために、様々な分野で触覚技術を共同で進化させる取り組みを続けています。

プロジェクトチームは、業界初の標準化されたゲーム振動触覚フィードバックシステムとタクタイルフィードバックを開発し、国際基準を策定しました。この一体化したソリューションは、AndroidとiOSの両プラットフォームで利用可能です。2022年までに、MTGPA Hapticsは2億4,000万台以上のスマートフォンに導入されました。

ユーザーのニーズを理解する

視覚障がいを持つ方が自由に移動できる世界

安全な移動は、視覚障がいを持つ方々にとって重要な課題です。白杖や案内犬など従来の支援方法は、外部の要因によって影響を受け、踏み外すことや誤った方向に進むことがあるかもしれません。適切な道を歩くことは難しく、混雑した騒々しい道を通ることも、目の不自由な人々にとっては挑戦となることがあります。

Tencent Mapsは、触覚フィードバック技術を活用してこの問題に取り組んでいます。スマートフォンの振動と音声案内を組み合わせて使用し、ユーザーの移動を案内します。正しい方向に向かっているときは振動が無く、進路から逸脱するとその度合いに応じて振動の増減で知らせます。

カスタム振動を音声アラートと組み合わせて使用することで、ユーザーは接近してくるバスや電車を識別し、目的地に到着したことを知ることができます。この革新により、視覚障がいを持つ方々は自信を持って外出することができます。

安全にテクノロジーを活用する

デジタル世界はまだ多く課題を抱えていますが、データのアップデートとプライバシーは視覚障がいを持つ方にとって特に重要です。デジタルプラットフォームで連絡をとる際の読み上げソフトウェアは、公共の場で機密情報を無意識に公開してしまう可能性があります。

テンセントのSougo(搜狗)は、触覚フィードバックを通じてこの課題に取り組んでいます。異なる振動がデジタルキーボード上の特定のアルファベットや数字に対応し、視覚障がいを持つ方が正確かつ効率的に入力できるようにサポートします。この方法は、プライバシーの保護を確保し、画面読み上げソフトウェアの不足を補完します。

バリアフリーなデジタル情報アクセス

視覚障がいを持つ方にとって、折れ線グラフなどの視覚情報の読み取りはとても困難です。しかし、触覚技術によってユーザーは異なる種類の振動を通じてデータを感じ、理解することができます。触覚フィードバック技術によって、以前は難しかったデジタル情報を「閲覧」し理解することが可能となります。

家族、友人、同僚とのつながりの維持する

誰からの着信かを知ることはコミュニケーションにおいて重要ですが、音声案内だけに頼ることは公共の場でプライバシーを損なう可能性があります。触覚の振動フィードバック技術を使用することで、着信電話を振動で通知し、プライバシーを守りつつ人々のつながりを支援することができます。

ユーザーフレンドリー

テンセントの触覚技術のユーザビリティテストと視覚障がいを持つ方からのフィードバックは、この革新に対する彼らの高い評価を示しています。学習カーブが約30分で、情報認識率が90%という素晴らしい結果を収めていることから、触覚フィードバック技術は効果的な追加ソリューションであることが証明されています。これによりバリアフリーコンテンツの範囲が拡大し、複数の感覚を刺激し、より豊かで包括的な体験が創出されます。

バリアフリーな世界を共に築く

触覚フィードバック技術の採用とオープンソースの取り組みにより、包括性とアクセシビリティが向上する道が開かれます。テンセントのオープン特許ライセンスプログラムにより、触覚特許はアクセシビリティのアプリケーションにおいてオープンに使用されることが可能となります。また、第三者の開発者が貢献し参加することを奨励し、全体的なエコシステムを改善します。

視覚障がいを持つ方が恩恵を受ける一方で、振動と触覚反応技術は、聴覚障がいを持つ方や高齢者にも支援を提供することができます。この取り組みを通じて、能力に関わらず全ての個人が独立して生活し、デジタル世界で効果的に参加できるような包括的な社会を築くことができます。

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