新しいコラム「#Career Talks(キャリア トークス)」では、テクノロジーやゲーム業界の専門家へのインタビューを通じ、業界の最新情報をお伝えします。今回はTiMi Studio GroupのビジュアルデザインディレクターのShadi Mallakに話を伺いました。以下に編集したインタビュー内容をまとめています。

AAAタイトルのゲームデザイナーへの道

私は現在、故郷のモントリオールを拠点にしています。若いころ、ビデオゲーム『Final Fantasy』を手に入れました。このゲームは独自のシナリオに従って進行し、さらにキャラクターの作成も可能です。そして、そのキャラクターを通じて世界と交流することができます。そのことをきっかけに「いつか、私もゲームを作れるようになりたい！」と思いました。

大学では美術と文学を専攻し、卒業後はウェブサイトやモバイルアプリ、印刷物のUIデザイナーとして働きました。平面デザインのスキルを磨き、その後、ゲーム業界のビジュアルデザイナーになりました。私の20年に及ぶキャリアの中で、12年間かけて『アサシン クリード』、『ファークライ』、『スター・ウォーズ』、『デッドスペース』などのAAAタイトルに参加する機会を得ました。そして約1年半前、私はTiMi Studio Groupに入社しました。

私の仕事の流儀

私はクリエイティブアートチーム(CAT)の一員です。私たちは、さまざまな美術専門分野にわたって、複数のゲームチームと連携しています。また、各チームやプロジェクトに対し、美術サポートを提供しています。一度に複数のゲームに携わり、ビジュアルスタイルガイドを確立し開発ガイドラインを設定した上で、デザインプロセス、テクニカルパイプライン、制作プロセスについてアドバイスします。

定期的なビデオ通話に加え、私の日々はアート制作とレビュー、または知識共有のためのコンテンツのリサーチと準備に費やされています。デザインプロセスから、UI制作のベストプラクティスや指導まで、業務は多岐にわたります。

業界の変革とさらなる好機

ゲームはかつて物理的な「物」として存在しており、マルチプレイには人数制限がありました。しかし今では、ゲームはデジタルな製品となり、プレイヤーはモバイルデバイスを使っていつでもどこでもオンラインプラットフォームでゲームをプレイできるようになりました。大規模なゲームを制作するためには、高度なスキルを持つ開発者が高品質なシステムや開発ツールを操作し、アートチームも質の高いグラフィックを制作する必要があります。

GaaS(Games as a Service)の急成長により、ゲーム体験を向上させるためには、プレイヤーに向けた高品質なUIがますます必要とされています。UIに関連するすべての職種において、需要は高まっています。また、UX(ユーザーエクスペリエンス)技術がますます成熟しており、注目すべき分野となっています。

優れたデザインで信頼を勝ち取る

デザインのポートフォリオはデザイナーにとって非常に重要です。なぜなら、個人のスタイルや能力を示すことができるからです。採用面接の過程では、候補者のデザインにおけるコンテキストをより深く理解したいと考えています。例えば、目標は何か、どんな制約があったのか、作品に関する意思決定はどのようにして行われたかなどです。

デザインのスタイルは最優先事項ではなく、重要なのはデザイナーがどのように考え、ユーザーに向け魅力的なソリューションを生み出すためにどのように技術を応用しているかです。また、デザインはチームスポーツなので、面接ではその人のコミュニケーション能力や態度も観察します。

デザイン経験が浅い方やゲームデザイナーへの転職を考えている人には、簡単なデザイン課題に対する提案をまとめてみることをお勧めします。既存のゲームを例にして問題をどのように解決するか試してみたり、特定のUI機能の改善策を模索するのもいいですね。ゲームジャムなどの開発イベントに参加して自身の能力を小規模なプロジェクトでアピールすることもお勧めです。

TiMiでは、多様性が重要

TiMiでは、多様性が非常に重要視されています。年齢も経験も経歴も異なるデザイナーが在籍しており、新卒であろうとマネージャーであろうと、誰もがチームに貢献し合い、お互いに学び合える制作環境が整っています。

チームのデザイナーはさまざまな経歴を持っています。ファッションデザインに携わっていたデザイナーもいます！

デザイナーからメンター、そしてリーダーへ

この業界では、最新技術を学び続ける姿勢が求められます。また、学んだことを活かし、メンターとして他人に教えることも非常に重要です。私のキャリアを振り返ってみても、私を気にかけてくれたり、本を貸してくれたり、作業のプロセスを説明してくれたり、あるいは緊密に私と一緒にデザインに取り組み、仕事上で学ばせてくれたデザイナーがたくさんいました。

リーダーとして、私はファシリテーションやコーチングを通じて指導し、耳を傾け、観察し、適切な質問をすることで、自分自身で解決策を見つける手助をしたいと考えています。

最大のアウトプットを実現する環境

私のキャリアにおいて、TiMiが提供してくれる信頼度、オープンさ、柔軟性はこれまでに経験したことがありません。このような職場の雰囲気の中で、私は全力で仕事に取り組むことができました。チームとのやりとりでは、さまざまなビジュアルデザインの挑戦ができ、デザイナーのアイデアについても遠慮ない発言が可能です。意見交換により、お互いに刺激を受け、意欲的に新しいアイデアを考える習慣が身につきます。

自分の経験を活かしながら、常に物事に好奇心を持つことで、どんな困難でも乗り越えられそうな気がします。