2023年のデジタル技術トレンド10選

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2022年、我々はIT業界の未来を築く技術をピックアップし、その後の展開について予測をしました。昨年のIT業界ではAIの可視化や新世代のCPUの登場など、さまざまな進展がありました。

さて、2023年はどんな展開を見せてくれるのでしょうか?

テンセントは、数百人もの社内外の科学者や技術専門家と協力して、世界を変える主要な最先端イノベーションについて議論と洞察をしています。トレンドを調べる研究チームを結成してから、今年で3年目になります。

今年発表された学術研究報告書「Top 10 Digital Technology Application Trends 2023」において、当社の調査チームは4つの主要なテクノロジー分野について説明しました。

  • コンピューティング、ストレージ、アーキテクチャ、セキュリティなどのIT基盤の再形成
  • 未来の世界を構築するためのAIやロボットなどのデジタル要素を含むインテリジェントな世界
  • 拡張現実(XR)、デジタルヒューマン、デジタルツインなどのデジタルとリアルの融合
  • 5Gや6G、Web3、モノのインターネットなどの未来のネットワーク

この研究報告書では、これらの分野が社会経済に対してどのような発展と変化をもたらすかを予想しています。それでは、世界的に注目されているIT業界の技術トレンド10選をご紹介します。

1. ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)の更なる進化

コンピューターの処理能力は、この数十年で飛躍的に向上しました。半導体チップは微細化し、想像を絶する量の情報を想像を絶するスピードで処理することができるようになりました。さらに、プロセッサーの能力を飛躍的に向上させるスーパーコンピューターも登場しています。これらのHPCは、古典的なコンピューティングシステムと量子コンピューティングシステムを組み合わせたハイブリッドシステムであり、複雑な問題を極めて高速に計算し解決することができます。

HPCは大規模言語モデル、AI生成コンテンツ、自律走行、タンパク質構造予測などのAI技術の活用を通じ、社会に利益をもたらすことができます。

2. ユビキタスコンピューティングは人・機械・モノの融合を加速

コンピューターが機能するにはオペレーティングシステムが必要です。このようなソフトウェアがなければ、コンピューターは使い物にならなくなってしまいます。サーバー、デスクトップPC、ノートPCにとどまらず、スマートフォンにもオペレーティングシステムがインストールされてます。そんな数あるオペレーティングシステムですが、互換性があるとは限りません。つまり、アプリやファイルはオペレーティングシステム依存で、デバイスによっては動作しない可能性があります。

しかし、生活のオンライン化が進むにつれ、IoT(Internet of Things: モノのインターネット)の時代に突入しています。スマート家電、照明、ウェアラブル技術、自律走行車など、近年発売した製品やアプリは、さまざまなデバイスで使用できるUOS(Ubiquitous Operating Systems: ユビキタスオペレーティングシステム)で開発されています。ユビキタスコンピューティングでは、スマートフォンなど1個のデバイスから多数のデバイスを管理・制御することができ、ユーザーの生活をより快適なものにします。

3. クラウドコンピューティングはより発展&普及

近頃、我々は動画のライブストリーミング、ゲーム、写真のバックアップ、業務効率化など、クラウド技術を用いたコンテンツに時間を費やしています。クラウド技術はエンターテインメントから自動車走行までさまざまな業界に変革をもたらし、競争力維持に欠かせないものとなっています。

クラウドサービスへの需要が高まるにつれ、機能はより洗練され、活用しやすくなっていきます。AI、ビッグデータ、デジタルツインなどの技術の進歩は、よりユーザーのニーズに合わせたクラウドネイティブサービスを実現します。

4. 時空間AIが都市を進化へと導く

世界中の各都市の構造は大規模化と複雑化が進んでおり、都市計画はより難しい課題になっています。時空間AIは空間と時間データを収集・分析し、複雑な環境状況や変化を予測することで、都市計画に貢献することができます。

時空間データは、交通、公衆衛生と安全、群衆、エネルギー使用、気候リスクなど複数のシナリオをモデル化するためにいつでも使用することができます。スマートシティはこの技術を利用して、施設やサービスの効率的な需要と供給を実現することができるのです。

英国王立科学アカデミーの特別研究員であるMichael Batty氏によると、時空間AIは私たちがどのように、どこで、なぜ都市に住み、移動するのかについての理解を深める可能性をもっているとのことです。また、より持続可能で公平かつ効率的な未来の都市を設計・管理するのに役立ちます。

5.ソフトウェア定義のエネルギーネットワークで送電網は最適化

2022年、エネルギー価格は世界的な高騰に見舞われるなか、SDEN(Software-Defined Energy Networks: ソフトウェア定義のエネルギーネットワーク)が出現しました。SDENはソフトウェアを使用し、遠隔操作でエネルギーの供給、分配、貯蔵、およびセキュリティを管理・制御します。これらは、エネルギー消費と生産を測定するためのセンサー、アクチュエーター、その他のハードウェアと、配電を管理するためのクラウド、AI、ビッグデータを配備することで実現されます。

デジタルエネルギーネットワークは、希少なリソースの割り当ての柔軟性と効率を向上させ、需要と供給に応じてタイムリーにエネルギーを割り当てることができます。

SDENは再生可能エネルギーを電力網に接続し、ソフトウェアを使用してグリッドバランスを実現することで再生可能エネルギーシステムへの道を開き、化石燃料への依存を減らすための重要なツールでもあります。

6. Web3時代の到来

近年、暗号通貨とNFT市場の下落によりWeb3のリスクについて取り上げられることも少なくありません。Web3のリスクに懸念を持つ人がいる一方で、興味を示す人も増えています。

Web3はインターネットを分散型ブロックチェーンベースシステムに進化させたものです。これまで、我々はイーサリアムなどのブロックチェーンでビットコインをはじめとする暗号通貨の取引をしてきました。そんな技術をビジネス上で運用するには、プライバシーや拡張性の問題を解決しなければなりません。

近年では、プライバシーを保護しながら取引の安全認証を行うことができるソフトウェアが開発されています。安全認証はほんの1秒で完了することができ、Web3はより普及できる見込みです。

7. ロボットは触覚を持つ

触覚は、ロボット工学の分野でも重要な研究対象です。五感のひとつである触覚は、ロボットが作業環境やその特性を理解するうえで重要な役割を果たします。このような知覚は人間とロボットを協調させることができ、一般家庭などのシナリオがない複雑な環境での使用にとって不可欠な要素です。

柔軟な素材と電子部品、機械学習アルゴリズムの革新により、今後1~3年の間に触覚センサーの空間認識と精度が大幅に向上すると予想されます。その恩恵は、産業用ロボットの遠隔操作、医療用手術ロボット、シミュレーショントレーニング、宇宙探査などの次世代を補う分野にも享受されます。

8. デジタルヒューマンは実際に人間と会話できるように

かつてはSF映画の世界のものだったデジタルヒューマンが現実世界でも実用できる日が近づいています。実際、そのような技術はデジタルマーケティングやエンターテインメントにおいても非インタラクティブな形で広く利用されています。

デジタルヒューマンの技術は急速な進化をしており、AIチャットの精度もますます高くなっています。近年、ライトフィールドスキャン、人工知能などの技術により、人間との複雑なコミュニケーションを取るようになりました。デジタルヒューマンは、観光、販売とマーケティング、情報と教育など、ゲーム以外の分野にもさらに活用される可能性があります。

9. デジタルオフィスが働き方を促進

新型コロナウイルスのパンデミックによって在宅勤務やリモートワークが一般的になりました。日常は戻りつつありますが、世界の人々の働き方は大きく変わりました。市場調査会社IDCによると、2023年までに世界の大企業2,000社のうち70%がリモートまたはハイブリッドオフィスファーストのワーキングモデルを採用するようになるといわれています。

企業には、従業員がリモートで情報にアクセスできるセキュリティに優れたデジタルワークスペースが必要です。これには、クラウドプラットフォーム、電子メール、メッセージアプリ、オーディオやビデオの通話ツール、およびその他のビジネスアプリケーションが必要不可欠です。そんな「マルチモーダル」なオフィスはコミュニケーションをより容易なものにし、設計、R&D、生産、管理などの分野をつなぐハブとして役立ちます。

10. 企業の情報セキュリティ対策はより身近なものに

情報セキュリティは企業や組織にとっての最優先事項です。デジタル化にともなって、厳格なインフラセキュリティ、データセキュリティ、デジタル産業チェーンセキュリティ、およびネットワークセキュリティの対策が課題でした。

これらの難題はネットワークセキュリティのワンストップサービスによって、より簡単なものになります。AI、ビッグデータ、プライバシー保護技術などの新しい概念を用いることで、企業の情報セキュリティ対策は簡単に行えるようになります。

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